生活信仰、生活伝道、生活教育

 原点回帰の大号令とともに、家庭連合は改革の道に向かって大きく一歩を踏み出しています。
 イエス様の十字架以降、摂理の中心軸を担ったキリスト教二千年の殉教史の土台の上で、再臨主を迎えるためにその使命を引き継いだ統一教会。一九五四年の創立以来、統一教会の四十年間は、正に、いわゆる〝牢獄の宗教〟と言われたように、愛する者や生活基盤を犠牲にし、身を天に捧げた蕩減の時代でした。
 イエス様は、「神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子を捨てた者は、必ずこの時代ではその幾倍もを受け、また、きたるべき世では永遠の生命を受けるのである」(ルカ一八・29~30)とまで語られていますが、私たちは、摂理の周辺に生きる者たちからは理解しがたい、神とサタンの一線の道を歩んできました。それも全ては、天の父母様(神様)の創造理想を地上に安着させるための、アベル圏の宿命の道だったとも言えます。

◆生活信仰
 四十年の蕩減基台の上で、今や摂理は大転換の時代に突入しています。イスラエル民族が、四百三十年間、過ごしてきたエジプトを捨てて、苦難の四十年荒野路程を通過し、神様の約束の地カナンに定着する時代を迎えたように、正に今、摂理の羅針盤の針は、天一国定着、安着に向かって、その針路を大きく変化させていることに、私たちは気づかなければなりません。
 「本来人間は、宗教と信仰生活を通して神様と関係を結ぶように造られた存在ではありません。本然の園には宗教はなかったのです。本然の神人関係は、信仰儀式の手順が必要なく、実生活において真の愛の幸福に酔いながら、理想的家庭を中心として暮らすことのできる真の父母と真の子女の関係です」(『平和経』274ページ)
 宗教の目的は、宗教が必要のない個人、家庭、社会をつくることにほかなりません。学校に入学すれば、所定の課程を履修して卒業しなければならないのと同じように、宗教は、信仰の道への入門を強調する以上に、個々人を教育、修練しながら生活信仰者として育成し、卒業させることを、より一層重要視しなければなりません。
 羅針盤の針が指し示す目的地にたどり着くために、私たちに求められる一歩が「生活信仰」です。
 「生活信仰の鍛錬を通して、ために生き、投入しては、また投入する真の愛の人格がつくられてこそ、理想的な夫婦、理想的な家庭が形成されるのです。この道こそが極端な利己主義、個人主義、物質主義の惰性から抜け出し、人類に明るい未来を期待できる道です。この道こそが不倫と青少年の堕落、そして家庭破綻を防ぐ道なのです」(1994年5月1日、「世界基督教統一神霊協会」創立40周年記念式)
 「アダムとエバとその子女たちは、全人類が従うことができる根本原理を生活の中で確立しなければならなかったのです」(『真の家庭と「家庭盟誓」』文庫判、142ページ)
 心情文化世界を創建するために、私たちは、真の愛、真の父母思想の教育を通して人格を涵養し、神様の祝福のもとに真の愛の家庭を築く運動を、さらに広げていかなければなりません。正に、真のお母様が強調されたように、愛の実践を生活化させる「天寶修行」の道は、羅針盤の針が示す核心とも言えます。

◆生活伝道
 「生活信仰」への取り組みは、必ず「生活伝道」へと導かれることでしょう。アベルがみ言の実体として、生活圏で実践する限り、必ずカイン圏の本性に「共鳴」を起こし、心の化学反応が起きるはずです。
 天一国時代の伝道は、「生活伝道」です。家族、親族、親友、同僚……、それぞれと関係を結んでいる生活圏こそが最高の伝道環境です。そこに気負いは必要ありません。み言に基づく当たり前の生活をしている限り、相手の心に本性的「共鳴」が起きてくるはずです。
 アベルの「生活信仰」によって、カイン圏は、二十四時間、どんなときも、「生活伝道」の環境圏で、「真の愛の幸福に酔う生活」へと連結されていくのです。

◆生活教育
 心の共鳴がつくる環境圏の中では、無意識のうちに「生活教育」が施されていきます。子が両親の姿を見ながら学びを深めるように、み言に根ざしたアベルの愛の実践生活は、カイン圏の「生活教育」へと連結されていきます。そこにはすでに、天の父母様と真の父母様が安着されていることでしょう。
 天一国の文化の核心は「孝情」です。子が親の心情に生きる生活は、すなわち孝情を育む生活となります。それが成されたときには、宗教という言葉は消えていくことでしょう。

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