真のお母様の位相を正しく実体で証す者に

田中富広会長のメッセージ

 十月十九日、西神奈川エリアの相模原家庭教会で田中富広会長を迎えて日曜礼拝が行われました。説教に立った田中会長は、韓国と日本において起こっている宗教迫害について説明し、「私たちの取り組みが、真のお母様をお支えする精誠になると固く信じて、日々、歩んでまいりましょう」と呼びかけました。(文責・編集部)

誰に対しても、人類の母として対される真のお母様

 皆さん、おはようございます。
 今は全世界の食口たちが、朝、目覚めるとともに真のお母様に思いをはせる日々を過ごしています。食事をするときも、夜に休むときも、お母様のことが脳裏から離れないでしょう。
 きょうは、この間、感じてきた内容を率直にお話ししようと思います。
 皆さん、真のお母様は人類の母、メシヤです。それを〝本当にそうだ!〟と確信できない限り、現在、直面している闘いに共に挑むことはできません。それぞれが抱いている〝お母様像〟では、立ち向かえないのです。
 七月十八日、特別検察官チームが一千人の機動隊を率いて天正宮博物館を訪れ、家宅捜査を行いました。
 その際、真のお母様は、捜査責任者に五十分間、人類に対する神様の救援摂理歴史について話されました。責任者は一対一でずっと聞くしかありません。〝俺が何とか、この波動を受け止めておくから、おまえたち、早く捜査しろ〟。そんな感じだったようです。
 真のお母様は、一国の大統領とお会いになるときも、一貫して、神様の創造目的、人間の堕落、神様が求めてきた人類の真の父母、独り子、独り娘、天の母、今日の摂理的な位相について語ってこられました。
 九月十七日、特別検察の事情聴取のために出頭された際も、検察官に対して五十分間、語り切られました。そして、「この国の大統領は、天の祝福を、今はホーリーマザー・ハンから祝福を受けなければならない」と訴えられたというのです。同席していた弁護士は、その発言に驚き、途方に暮れたといいます。
 真のお母様は、検察官であろうが、食口であろうが、誰に対しても語る内容は変わりません。天の母、人類の母であるお母様にとっては、皆が子女なので、同じ波動で、相手が悟るように投入されるのです。

たとえ収監されたとしても摂理を推進される真の父母様

 日本では、家庭連合に対する激しい非難の嵐が起きてから三年三か月が過ぎました。韓国は今、驚くほどの急展開で、事が運ばれています。そこに国家のすさまじく強い意志があるのは間違いありません。
 韓国の検察は、韓鶴子総裁・真のお母様が、家庭連合という組織の全ての責任を取るべき最高位にあると認識しています。その認識から動いているのです。末端の信徒が何をしても、全ての指示は韓総裁から来ているというのです。そのことを起訴状では、これが教団のDNAであり、教団の文化だと断定しています。
 私たちにとって真のお母様は、人類の真の父母であり、平和の母であり、摂理の「時」を教え、天からの預言を下さる方ですが、世の中は、組織のトップとしか見ないのです。
 日本家庭連合は、田中富広会長が法人のトップなので、全責任は田中富広が取るということになります。分かりやすいですね。同様に、韓国家庭連合には韓国会長がいるのに、〝全ての組織は韓総裁を中心として構成されている〟と見なし、真のお母様に法を当てはめ、裁こうとするのです。
 教会幹部をはじめ、食口たちは、このように思うでしょう。〝「全て私がやりました」「私が全て指示しました」と責任者が名乗り出れば、真のお母様に危害は及ばないのではないか〟と。
 実際、あるリーダーが、入院されている真のお母様を訪ね、ひざまずいて、「このまま行けば、お母様が収監される可能性があります。お母様の代わりに食口が背負えば道は開けます。どうか、お許しください」と訴えました。
 しかし、真のお母様は、「絶対にだめです! 私は子供を差し出す親ではありません」とお答えになりました。なおも、「お母様は一人や二人の子女の母ではありません。全人類の母です。どうか耐えてください」と食い下がりましたが、お母様は引き下がられませんでした。
 真のお母様は、「これから生きた神様を見せにいく」とおっしゃり、拘置所に入られました。その姿は、ダンベリー刑務所に向かわれた真のお父様にそっくりでした。お父様は、問題が生じたときに米国に入国しなければ、収監されないにもかかわらず、法廷に臨んで正論を訴えられたのです。
 真のお父様は、「ダンベリーに世界本部を移す」とおっしゃり、収監されている間も、超宗教運動など、世界のさまざまな摂理を一つ一つ指示し、共産主義崩壊の宣布も命じられました。同様に、拘置所にいらっしゃるとしても、真のお母様は、天の摂理の中心です。
 現在、真のご家庭や教会幹部が真のお母様と面会する時間は、一日に十分しか認められていません。拘置所の居室は四畳の広さで窓はなく、足腰の悪いお母様にとって、床で寝るのは本当につらいことだと思います。
 その状況下でも、真のお母様の信念が揺らぐことは一切ないのです。

日本、韓国に影響を及ぼす動き

 そもそも、なぜこのように事態が急変したのでしょうか。
 韓国では、家庭連合を含む七つの宗教団体に捜査が入り、四つの宗教団体のリーダーが拘束され、起訴されました。その動きを世界が注視しています。
 日本では、三年前に岸田文雄首相(当時)が、自民党と家庭連合の関係断絶を宣言し、二年前、解散命令の請求を文科省に指示しました。
 今から二か月ほど前、韓国において、「中国反邪教協会」の秘密会議が持たれました。「邪教」とは、中国政府が非合法と見なし、弾圧の対象としている宗教団体や気功集団を指します。
 その会議には、韓国の反カルト勢力である、キリスト教根本主義のプロテスタント教会指導者が参加し、日本からは、大学講師の中西尋子氏が招待されていました。
 中西氏は、韓国にお嫁に行った日本の女性たちの調査報告をまとめ、その情報を基に、『週刊ポスト』(2010年6月4日号)が、「韓国農民にあてがわれた統一教会・合同結婚式 日本人妻の『SEX地獄』」という見出しの記事を掲載しています(この記事に関して、東京地裁は2013年2月、発行元の小学館に55万円の賠償を命じた)。
 中国の憲法(第36条)には「中華人民共和国公民は、宗教信仰の自由を有する」と書いてあります。ただし、続きがあります。「国家は正常な宗教活動を保護する」とあるのです。「正常」かどうかを判断するのは中国共産党です。そこが正しいと認めなければ、邪教ということになります。
 九月二十九日、習近平・国家主席は、中国共産党中央政治局集団学習を主宰。宗教の統制と管理強化を強調し、「宗教の中国化」を速やかに進めるように訴えました。宗教が社会主義に適合するように積極的に導いていくとは、〝神がいない宗教〟をつくるということでしょうか。
 十月九日以降、中国のキリスト教会「シオン教会」の牧師ら三十人が相次いで警察当局に連行され、連絡が取れなくなったといいます。これに対して米国務省は、即時解放を求める声明を発表しましたが、中国は「内政干渉に断固反対する」と突っぱねました。

全国弁連の背後にあるもの

 三月二十五日に東京地裁が家庭連合に対する解散命令を決定しました。その三日後、中国反邪教協会は声明文を出しました。「東京地裁の判決は、中国で宗教に対して用いられているのと同じカテゴリーを適用しており、中国の利益にかなっている」と称賛し、反共産主義運動の壊滅と宗教に対する今後の政策のモデルとして、世界の国々は学ぶべきであり、米国もこれに倣うことを願うと述べたのです。
 時を少しさかのぼってみます。
 二〇二二年七月八日、安倍晋三元首相の銃撃事件が起き、同月十一日に、私は記者会見を行いました。その翌日、中国人民日報系「環球時報」が、「安倍首相暗殺は中国のカルト一掃の正当性を示した」と報道。世の中に事件の詳細が何も伝わっていない時点で、山上徹也容疑者を「被害者」とし、家庭連合を「加害者」と位置づけました。
 その日の午後、日本では「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が記者会見し、家庭連合の解散命令請求を主張しました。中国のネットワークは、日本に深く根を張っています。

キリスト教文化、伝統的な家庭の在り方を破壊する共産主義者

 一九一七年にロシア革命が起きて百年ほどたちましたが、共産主義者たちは、まだその目的を達成していません。
 共産主義者たちの本来の願いは、世界同時革命でした。しかし、その願いは挫折しました。ヨーロッパに根づいていたキリスト教が立ちはだかったのです。
 キリスト教の信仰は、主に家庭で親から子へと伝承されていくことから、共産主義の活動家たちは、キリスト教と家庭の破壊を最大の目標として掲げるようになっていきました。
 彼らは、政権を奪取したとしても、文化が変わらなければ、真の革命ができないことを学び、時間をかけて確実にキリスト教文化を破壊し、共産化していく流れを築きあげました。〝木の実が熟せば、放っておいてもいつかは落ちてくる〟と考えたのです。
 では、文化を変えるとは、どのようになされるのでしょうか。
 学校教育や芸術、ネット社会、あらゆる分野で共産主義思想がひたひたと浸透するときに使われる〝きれいな言葉〟があります。それが、「人権」「多様性」「自己決定」の三つです。
 子供の人権、いい言葉ですよね。皆さんも、子供たちから「私に人権はないの?」と迫られれば、何も言えなくなるでしょう。性の多様性、結婚の多様性。彼らは家族の絆よりも人権を重視し、同性婚のカップルにも、異性間で結婚したカップルと同等の権利を認めるように訴えます。そして、子供たちに、〝いつ、どこで、誰と、どのような性関係を持つかは、自分で決められるのだ〟と、「性の自己決定」という考えを植えつけているのです。
 私たちは決して、LGBTの人々を批判しているのではありません。彼らを利用して、伝統的な家庭の在り方を壊そうとする共産主義運動に反対しているのです。
 残念ながら、二〇二三年六月、「LGBT理解増進法」が、公布・施行されました。日本は確実に、共産主義思想によって変えられつつあります。今や、親が子供に信仰を継承させることが人権侵害だと言われます。〝親の価値観を子供に押しつけるな〟というのです。もう話になりません。
 地上天国の基地は家庭です。私たちは、家庭の価値、宗教の価値を命懸けで守ります。絶対に譲れません。
 なぜ、わが団体には、こんなに敵が多いのでしょうか。地上に人類の真の父母を迎え、本気で地上天国をつくろうとしているからです。そのため、思想、芸術、文化、教育、あらゆるところで既存の価値観とぶつかり、攻撃されます。あの世の天国だけを目指している宗教は、迫害など受けないでしょう。
 正しいことを言えば迫害される。それなら、「迫害のある所に真理がある」と言えるでしょう。皆さん、喜んで迫害を受けていきましょう。

裁判で現役信徒の証人尋問が認められる

 解散命令の裁判に関して少しお話しします。
 もし、東京高裁で決定が出されたとしたら、清算人によって解散の手続きが進められます。もちろん、最高裁に上告しますが、それによって、清算人の動きを止めることはできません。教団が所有する建物をはじめ、財産は全て没収されます。
 万が一、宗教法人格がなくなったとしても、天のみ旨がなくなるわけではないので、私たちの歩みは止まりません。ただ、やはり、二世、三世、未来世代のことを考えると、宗教法人格は何としてでも残したいものです。
 しかし、この三年間、日本の司法と向き合ってきて、その道の険しさがよく分かりました。
 それでも、高裁には期待しています。
 裁判の関係者が最初に顔合わせをしたとき、裁判官は、「私たちは証拠主義でいきます。証拠に基づいた論点を提出してください」と、文科省側に伝えていました。これまでにはなかったことです。
 そして、真のお母様が事情聴取を受けられた九月十七日、時を同じくして、私も日本で裁判所に行きました。このとき、私たちが求めていた現役信徒の証人尋問を受け入れると伝えられたのです。
 裁判官はさらに、「家庭連合の被害者救済の取り組みについて報告書を出してください」と言いました。全く想像していなかった発言でした。もともと解散させるつもりなら、被害者救済の取り組みなど、知る必要のないことではないでしょうか。
 家庭連合が、被害を訴える方々と誠実に向き合っているという事実を裁判官に知ってもらうことができる可能性が高まりました。それらの事実を踏まえたうえで、解散させるべきかどうかが議論され、結論ありきではなくなったとしたら、大転換です。
 私たちの実体を見てもらうために、全国の兄弟姉妹が街頭で訴えるようすや信教二世遊説隊「N.A.B.I」のスピーチなど、全て裁判所に証拠として提出しました。非公開裁判のため、その映像を皆さんに見てもらうことができないのが残念です。送付前に弁護士たちと視聴しましたが、涙なしに見ることはできませんでした。必ず裁判官の心も打つと信じます。

食口の実体に触れれば、人々は必ず感化される

 真のお母様は、拘置所に拘束される中で、「真実は必ず明らかになります。私が忍耐して待つしかないね」とおっしゃいました。真実を明らかにするのは、私たち子女しかいないでしょう。これまで、平和の母として、世界のトップリーダーたちを迎えてサミットを開き、世界中で平和運動を展開してこられたお母様の業績を、私たちが責任を持って証ししていくのです。
 今、問われているのは、真のお母様の位相の観点に立って証しをすることができるかどうかです。
 かつて、イエス様はご自身が神の独り子であると証しされました。それゆえに十字架に向かわざるをえなくなりましたが、もし、イエス様の位相に相対して証しできる人間がいれば、十字架への道が変わったかもしれません。
 真のお母様が、「この国の大統領はホーリーマザー・ハンから祝福を受けなければならない」とおっしゃった言葉の意味が分かる者が求められています。「私は神の独り娘」という宣言の意味を理解し、相対圏に立つ位相を持った者は、子女でしょう。私たち子女が、お母様の位相をいかに正しく実体で証すことができるかが問われています。さらに力を入れて、「見える化」に取り組んでいきましょう。
 相模原家庭教会は、バザーを開くと一般の方が三百五十人も訪れ、その中には親族が百人も含まれると聞きました。すごいことです。映像に撮って、「教会は、こんなに開かれた所ですよ」と、公開したいぐらいです。
 真のお母様が、「食口は天の宝であり、天の武器である」と表現されたように、食口の実体に触れてもらえれば、人々に必ず感化を与えることができます。お母様を母として慕う子女たちの発信が、一番の武器です。自らの思いを発信し、夫婦や家庭の姿を見せ、教会活動を伝える。SNSなど、あらゆるツールを用いて、食口たちの実体、家庭連合の真実を正しく伝える努力をしていきましょう。
 私たちの取り組みが、真のお母様をお支えする精誠になると固く信じて、日々、歩んでまいりましょう。