天苑宮・天一聖殿入宮式勝利の摂理的意味

 五月二日、岡山家庭教会(岡山エリア)で「選民祝福家庭特別研修会」が行われ、第四リージョンの牧会者や女性部長など、責任者たちが集いました。講話に立った田中富広会長は、大勝利で終えた天苑宮・天一聖殿入宮式の摂理的意味について解説し、「私たち選民祝福家庭が、神様を父母として侍る子女になってこそ、神様の安着の道が開かれます」と訴えました。(文責・編集部)

私たちが立てていく伝統が未来をつくる

 み旨の最前線で、食口たちの霊的な生命と向き合い、天の摂理を牽引する皆さんの精誠と熱い闘いに心から敬意を表します。
 第四リージョンが最初の巡回地となりました。四月十三日に歴史的な天苑宮・天一聖殿入宮式を終え、一刻も早く、最前線の兄弟姉妹たちと、この意味を正しく理解する時間を持ちたいと願ってきました。天に報告し、祝福を受けて、このたびの巡回をスタートしたので、皆さんと共に今の時を正しく認識し、未来を正しく見据えて出発する場にしていきたいと思います。
 真のお母様は、今を、歴史的な大転換の時であると言われます。一体何が大転換したのでしょうか?
 六千年を経て、神様がこの地上に安着されました。私たちはこの時に生きているのです。その事実を、私たち自身が体感できているでしょうか? 私たちがこれから立てていく一つ一つの伝統が、未来をつくるのです。
 先ほど歌を披露してくれた青年の合唱団。彼らの顔や目を見ていると、希望が湧いてきました。
 どんなに小さな夢、どんなに小さな決意でも、それを持っている人の目は輝いています。夢もなく、目標も持たない人の目は死んでいます。若い世代が真のお母様と一つになり、「私たちがいるから大丈夫です!」と声を上げる姿に、天は感動し、お母様も大きな期待を寄せていらっしゃると思います。

人類の真の父母と一つになり新しく出発する時

 天苑宮・天一聖殿入宮式は、大勝利で終えました。何をもって「勝利」と言えるのか、私たち責任者が、まず正しく認識しておかなければなりません。
 式典は、初めに「天勝の旅路」と題する舞踊劇で、六千年に及ぶ天の摂理と、人類の真の父母を迎えてからの路程が表現されました。
 続いて、真のお母様とお孫様の信出様、信興様が入場され、「天位奉還式」が挙行されました。ここにも、歴史の大転換を象徴する意味が込められています。また、人類の真の父母の前に全人類がこうべを垂れ、新しい出発を共になすという大きな意味も込められていました。
 そして、信出様と信興様を中心として「天愛祝承式」が行われ、〝これから、天によって準備された教育を受けていく〟との誓いが立てられました(25ページに誓約文)。天から定められた「天愛祝承子」として、天の願いに応えることのできる実質の伴った自らになるために、お二人は、教育プログラムに臨んでいかれるのです。
 入宮式後、天正宮博物館で真のお母様にお会いしたとき、お母様は、「入宮式のみ言宣布(18ページに全文)を何度も読みなさい」とおっしゃいました。その内容を共有します。
 「宇宙の主人であられる、創造主・天の父母様(神様)。きょう、この一日を迎えるまで、人類の堕落によって六千年間、耐え忍び、待ってこられました。……今やあなたが、真正なる、この地の主人であられます。真の父母によって、多くの祝福家庭を通して、二世・三世圏、四代圏のピュアウォーターが、あなたの地上天国の姿を満天下に知らせるため、世界に向かっています。天の父母様、きょうから思う存分、子女たちを抱き、愛してください」
 真のお母様は、作成済みの文章を読むのではなく、そのときのご心情をそのまま言葉にして宣布されました。ピュアウォーターに対するお母様の期待と確信は揺らぐことがありません。お母様の気持ちを引き付けてやまないピュアウォーターたちです。
 昨年四月、日本の指導者たちが韓国で二週間の研修を行いました。その際、真のお母様は祝福家庭の使命について語り、「皆さんを信じていいの?」と叱咤激励されました。私たちはもちろん、「はい!」とお答えしたのですが、お母様は、「でも、大丈夫です。神トップガン、二世たちが、私と一つになり、一本の針となって立っています。あなたたちは、彼らと一つになればいいのだから」とおっしゃったのです。
 真のお母様は、ピュアウォーターたちを通して未来を見詰めていらっしゃいます。私たちがそのことを受け止めなければ、お母様の心情と一致した未来像を描くことはできません。
 今、真のお母様とどれくらい一つになっているか。この一致圏が、未来をつくります。私たちは、未来を決める重要な時を過ごしているのです。

天の父母様の創造理想の夢が実現したと宣布される

 入宮式で私が最も印象深かったのは、天一聖殿の扉が開かれた瞬間です。天の父の背後にずっと隠されていた天の母、その実体である人類の真の母、ホーリーマザー・ハンが、天地開闢を告げるように扉を開かれました。
 真のお母様は、真のお父様の聖和以降、さまざまな批判や誤解を受けてこられました。それでも、一貫して独り娘の話を続けられたのです。目標はただ一つ。人類の前に天の母を現し、「神様は父母である」と明らかにするためです。そうしてこそ、神様は解放されるとお考えでした。
 真のお母様と天愛祝承子が入場されるシーンには、恐らく、この世のどんな音楽も合わなかったでしょう。「チェワンナビ(帝王蝶)」、この曲しか、その場を彩ることはできません。信出様が「帝王蝶」を作ってくださったことに心から感謝しました。千人の大合唱団が感動的に歌い上げ、日本からも二百八十人が同参しました。
 入宮式前日に祝福式が行われ、真のお母様が祝祷をなさいました(29ページに全文)。聖婚問答や聖婚宣布は、以前に録音された音声が使われましたが、祝祷は、お母様が直接、その場で捧げられました。その中で特に心に残った一文が、「きょう、あなたの創造理想の夢が実現しました」です。
 神様がアダム・エバと共に地上で暮らし、四大心情を味わってから永生に向かうという創造理想の原則からすれば、入宮式で神様を地上にお迎えした後に祝福式が行われるべきでしょう。しかし、そうなると、祝福式は十三日の午後か十四日の開催となります。その場合、日本から渡韓する青年が半分になる可能性もありました。
 全世界の大陸指導者たちとも議論が重ねられ、最終的に真のお母様は、〝この式典全体が、天の勝利圏のもとの一つの式典である〟と認定してくださいました。入宮式の前に祝福式が行われたとしても、本来の意義は損なわれないため、お母様は、天の父母様が実体として地上に臨在し、創造理想の夢は実現したと祈られたのです。この宣言は、決して譲れないものでした。
 一連の式典の後に真のお母様のお姿を拝見すると、勝利感にあふれ、歴史の使命を完璧に果たし切ったという満足感に包まれていらっしゃいました。お母様は、祝福式の祝祷と入宮式のみ言宣布によって、永遠に刻まれる歴史の大転換を告げられたのです。

神様が安着されたことを証す実体は、私たちの家庭

 四月十三日は、神様にとってどのような日だったのでしょうか? 天務院の鄭元周・副院長が「天一国指導者総会」の開会式で詳しく説明してくれました(44ページにメッセージの全文)。
 ①六千年を経て天の父母様が地上に初めてお越しになり、安着される日
 ②真の父母様のお体をまとって祝福家庭の子女たちと共に地上天国生活を始められる初日
 ③真の父母様を通じて、真の愛、平和世界、天一国を直接主管し、治められる、始まりの日
 神様が父母として安着されるためには、父母を父母として侍る子女が必要です。その子女とは誰か? 言うまでもなく選民祝福家庭、私たちです。私たちが神様を父母として侍る子女になってこそ、安着の道が開かれます。
 神様は天一聖殿に閉じこもっておられるのではなく、私たちの家庭に安着されます。ですから、家庭が神様を父母として迎えた生活圏になったかどうか、夫婦が神様を父母として迎えた関係になったかどうか、親子関係や兄弟姉妹関係はどうか、間違いなく問われます。そこ以外に神様の安着を〝見える化〟させるところはないからです。「神様が安着された」と言える実体をつくる。それが、私たちの使命です。
 また、鄭元周・副院長は、四月十三日を迎えるに当たって、真のお母様が摂理的に取り組んでこられた内容について五つ挙げています。
 ①創造主・天の父母様に実体として侍る、地上天国生活圏時代を開かれた
 ②六千年間隠されていた天の母の摂理的位相を取り戻された
 ③天の母の実体が「ホーリーマザー・ハン」であることを標榜された
 イエス様は、「わたしを見た者は、父を見たのである」(ヨハネ一四・9)と語られました。真のお母様は、〝私を見た者は、天の母を見たのである〟という立場です。私たちが、「ホーリーマザー・ハンを通して天の母を見る」と、はっきり宣言できない限り、一つになる道は遠いです。
 ④ホーリーマザー・ハンに侍る祝福家庭として、感謝祈祷をすることができる、特別な恩賜が与えられた
 真のお母様が、祈祷の締めくくりに「ホーリーマザー・ハンに侍る祝福家庭」の文言を入れるように指導された瞬間、「やっぱり真のお父様を否定した」「お父様と一つになっていない」などと、批判的な声がネットに飛び交いました。祈祷する主体、私の名で祈ることは変わっていないにもかかわらずです。私はこのご指導を、ある意味、お母様から私たちへの挑戦状だと考えています。本当にホーリーマザー・ハンに侍っているのかどうか、私たちに問うておられるのです。
 ⑤天の父母様が地上に安着し、摂理を直接経綸できる愛の実体となる治理(治める)時代を成し遂げられた
 あらゆる環境が、神様を父母として整備される時代が到来しました。真のお母様が立てられた摂理的な勝利圏を、まず私たち責任者が認識し、生活圏に落とし込み、日々、どんな変化が表れてくるのかを確かめていかなければなりません。そして、食口たちを天の父母様と真の父母様、お母様に連結していくのです。

真のお母様の誕生を中心に歴史をまとめた韓民族選民大叙事詩

 清心平和ワールドセンターの前に、年頭標語が記された大きな石碑が建てられました。ご存じでしょうか? 真のお母様は、この年頭標語が二代、三代と継続されると語られました。
 では、来年は、年頭標語に「天一国十四年」と記されるのでしょうか? 私は、そうならないと思います。「天一国十三年」に意味があるからです。年頭標語によって、天一国十三年に何が起きたのかをはっきり宣布したということです。だからこそ、石碑を建てて残したのです。
 年頭標語の後半部分の実現も、さらに問われていきます。天によって立てられた子女として、「真の父母様と一つになる」「選民としての責任を果たす」「天一国の真の子女になる」という三つの願いを受け止め、信徒たちを教育し、共にそのゴールを目指していかなければなりません。
 これは、一月三十一日に行われた指導者集会でのみ言です。
 「創造の原則です。独り子がいるなら、独り娘がいなければなりません。そのため、天は、独り娘を誕生させることのできる民族を立てたのです。それが韓民族です。その中の、キリスト教の環境圏で、独り娘は誕生しなければなりません。皆さんが韓民族選民大叙事詩を見れば、(韓民族が)特別な民族であることが理解できるでしょう」(本誌4月号10ページ)
 昨年、「韓民族選民大叙事詩」の教育が始まりました。真のお母様の今回の勝利圏と選民大叙事詩を強調された内容には一貫性があります。それを正しく理解する必要があります。
 選民大叙事詩には、真のお母様の強い思いが込められています。関連する十三枚の絵画も公開されました。昨日、絵画制作に携わった日本人画家を本部に迎えて食事会を行い、さまざまな話を聞きました。世界から集まった十三人(完成時は12人)の画家が命懸けで制作に臨んだということでした。
 選民大叙事詩は、人類救援の摂理史において地上に立てられた再臨のメシヤと初臨の独り娘により、人類の真の父母が誕生したことを証すものです。特に、イエス様以降、二千年をかけてお生まれになった韓鶴子・真のお母様の誕生をベースに歴史を見詰め直し、叙事詩にまとめられました。端的に言えば、お母様を中心に歴史に光を当てて、ストーリーが作られたということです。私たちはすでに同様のことを経験しています。統一原理の「歴史の同時性」です。同時性は、メシヤの誕生を中心に歴史に光を当てて整理したものです。そこに神の働きかけがあったと捉えるのも、信仰です。
 神様は韓民族を選民として育ててこられました。その特徴は何でしょうか? 私は、天務院の李基植・韓民族選民大叙事詩TFT事務局長が、真のお母様に論点の確認をする場に居合わせたことがあります。そこで、お母様が最も強調されていると感じたのは、「天孫民族」と「純潔」です。韓民族は、メシヤの降臨を願い求める待望思想を持った白衣民族であり、純潔思想を定着させ、父母への孝情の伝統を立ててきた民族です。神様は、人類の父母を迎えるのにふさわしい民族の性稟を、時間をかけて育んでこられました。
 ところで、日本も神の摂理国家です。ですから、摂理国家としてふさわしい、日本民族の選民大叙事詩があるはずでしょう。神様が、母の国を立てるために育まれた日本民族としての特質があるということです。
 李基植・事務局長は、次のような見解を述べていました。
 〝日本は真の父母を立てる国ではありません。日本民族は、韓国で立てられた真の父母を受け入れるのにふさわしい特質、天稟が育まれてきたという視点から見ていけば、日本民族の大叙事詩ができるかもしれません〟

創造原理的視点で教育する

 人類の救援摂理史は、祭物時代、旧約時代を経て、イエス様と聖霊を迎えて新約時代を迎えました。そして、再臨のメシヤと実体聖霊によって人類の真の父母が誕生し、現在に至っています。今は真の父母と共に地上で歩む黄金期です。真の父母様のご存命期間に蕩減摂理は終わり、真の父母を中心とした創造の摂理がすでに始動しています。
 人類の真の父母の誕生(1960年)、神様王権即位式(2001年)、真の父母様入宮戴冠式(2006年)、真のお父様の天宙聖和(2012年)、天一国基元節宣布(2013年)、天苑宮・天一聖殿奉献(2023年)、そして、このたびの天苑宮・天一聖殿入宮により、神様の実体治理時代が始まりました。真のお母様は今、二年後の二〇二七年に迎える第六十回「天の父母様の日」を摂理的節目と捉えて歩んでいらっしゃいます。
 天の摂理は、蕩減的視点と創造原理的視点が交錯しながら成されてきました。
 私は一九五六年に生まれました。家庭連合に導かれたのは一九七五年です。天の摂理と共に歩み、どれくらい一致できたかどうかはともかくとして、私の中で確実に変化してきたことがあります。
 私は、蕩減時代のまっただ中で訓練を受け、信仰が形づくられてきました。生活基準は基本的に蕩減原則によって成り立っています。そんな私ですが、蕩減時代に培われた感覚よりも、創造原理的視点で物事を見る感覚のほうが強くなってきているのです。
 真のお母様は、創造原理的視点で語られることが圧倒的に多いです。それは、私たちが今まで持ってきた観点と違って聞こえることがあります。〝えっ、お母様は「原理」を無視していらっしゃるのではないか〟と。
 以前に、勅使河原秀行・総務局長と一緒に真のお母様にお会いしたことがあります。お母様は勅使河原局長に、「あなたは何を担当しているの?」とお尋ねになり、勅使河原局長が、牧会者や原理講師の養成に携わっているとお伝えすると、「これからは創造原理だけでいい」とおっしゃいました。衝撃のみ言でしょう。
 これは、〝原理講義は創造原理だけでいい〟という意味ではありません。〝創造原理的視点でしっかりと教育しなさい〟という意味です。創造原理という本来の視点で見ることができる実体が立ったからです。

神様と私の関係性が変化すれば、生活圏にも変化が表れる

 『原理講論』の終末論の内容です。
 「歴史的な転換期において、神が願うところの新しい歴史の賛同者となるためには、神が立てられた新しい歴史の中心がどこにあるかということを、探しださなければならないのである。
 このような新しい時代の摂理は、古い時代を完全に清算した基台の上で始まるのではなく、古い時代の終末期の環境の中で芽生えて成長するのであるから、その時代に対しては、あくまでも対立的なものとして現れる。したがって、この摂理は古い時代の因習に陥っている人々には、なかなか納得ができないのである」(『原理講論』173ページ)
 今は、天の父母様を中心として、私たちの霊人体と肉身が一つとなり、神霊と真理に呼応する人間となって、天一国を創建する主人として立つ時です。この、天の父母様と霊人体との関係が、私が導かれてから五十年の間にどんどん変化してきました。
 真の父母様の勝利圏によって、神様の位相は変化してきました。神観が変化することで、神様と私たちのつながり方も変わっています。また、生心を中心として心霊が成長し、神霊をキャッチしながら神様をつかんでいくのですが、私自身の中で心霊が大きく変化しているのを感じるのです。
 「霊人体は人間の肉身の主体として創造されたもので、霊感だけで感得され、神と直接通ずることができ、天使や無形世界を主管できる無形実体としての実存体である」(同86ページ)
 「終末に処している現代人は、何よりもまず、謙遜な心をもって行う祈りを通じて、神霊的なものを感得し得るよう努力しなければならないのである。つぎには、因習的な観念にとらわれず、我々は我々の体を神霊に呼応させることによって、新しい時代の摂理へと導いてくれる新しい真理を探し求めなければならない。
 そして探しだしたその真理が、果たして自分の体の内で神霊と一つになり、真の天的な喜びを、心霊の深いところから感ずるようにしてくれるかどうかを確認しなければならないのである」(同175ページ)
 天心苑で祈りの精誠を捧げ、心霊を神霊に呼応させながら、それらが一つになった感覚を持つことが大切です。そして、自らに生じた変化を感じるようになれば、生活も変わるはずです。神様と私の関係性が変化すれば、生活圏にも変化が表れてきます。逆に言えば、生活圏に変化がないということは、私と神様との関係も変化していないということです。
 私たちが、ホーリーマザー・ハンを通して宣布された神様の位相を正しく捉えているかどうかは、生活を見れば分かります。そこにしか神様の着地点がないからです。

未来永劫にわたって真の父母は一組しか存在しない

 三百年後、この地上に天の父母様、真の父母様は存在するでしょうか。それは、私たち次第です。私たちの生活圏で決まります。〝三百年前に「真の父母」と呼ばれた偉人がいた〟と、真の父母様の業績が偉人伝にまとめられるだけでは意味がありません。父母を父母として侍る子女がいてこそ、歴史は天国に向かっていくのです。
 天の父母様を中心として、アダムとエバが立てられました。ふたりの本質は、天の父と天の母です。しかし、堕落したがゆえに父母の位置を失いました。神様は、イスラエル民族を立て、「ヤハウェの神」と呼ばれました。父母なのに、誰も父母と呼んでくれないことが、神様の苦しみ、悔しさでした。
 神様と人間の関係が近づき、「主なる神」と呼び方が変わります。イエス様を迎えてからは、「父なる神」と呼ばれるようになりました。しかし、イエス様は独り娘を実体で迎えることはできませんでした。
 神様は韓民族を立てられ、歴史は、再臨のメシヤと初臨の独り娘、実体聖霊を追い求めてきました。もし、イエス様が実体聖霊を迎えていたら、韓民族が摂理の表舞台に立つことはなかったでしょう。
 韓民族は五千年以上かけて準備され、その歴史は、真の父母の誕生に向かって流れてきました。一九六〇年に真の父母様が聖婚され、祝福結婚によって、霊人も含め、全人類が神の血統に立つ道が開かれました。
 ですから、真の父母様を追い出して、自分が真の父母になって新たな道をつくるとか、真の父母を離婚させて異なる真の父母を立てるとかいうことは、ありえません。未来永劫にわたって真の父母は一組です。文鮮明総裁・韓鶴子総裁だけです。
 先日、訪米したときに、日本人集会に呼ばれました。何を話したらいいか尋ねると、「非原理集団について話してほしい」と願われました。米国ではUCI(郭グループ)やサンクチュアリ教会などの非原理集団に所属する人たちも、家庭連合の教会で一緒に礼拝を捧げているようです。それで、信徒同士、どのように接したらいいのか戸惑うことがあるというのです。
 私はこのように語りました。
 「もし、隣にいる人と、どう接すればいいか悩むようなら、その人に『三百年後、人類の真の父母は誰だと思う?』と尋ねてみてください。『それは、文鮮明総裁・韓鶴子総裁でしょう』と答えなければ、その人は、真の父母様の前に子女として立っていません。私たちと同じ価値観を持っていないということです」
 万が一、真の父母様のことをよく理解できないとしても、真の父母であることは変わりません。真のお父様と真のお母様がどれほど一つになっているか分からなくても、真の父母です。
 皆さんは、自分の両親のことをどれくらい知っていますか? お父さんがお母さんにどんなプロポーズをして、お母さんがどんな気持ちを抱き、結婚に至ったのか。結婚後、夫婦がいかに一体化の道を歩んできたのか。よく分からないのではないでしょうか。それでも、無条件に親なのです。嫌いでも、親は親でしょう。親だから、絶対に捨ててはだめです。共に過ごし、親を理解していく努力が必要です。

選民祝福家庭が果たすべき責任、神氏族メシヤの勝利

 全人類、最後の一人が祝福を受けるまで、神様の救援摂理は続きます。〝ここら辺でいいかな〟とは、絶対になりません。なぜか? 親だからです。親は、最後の一人を懐に抱くまで絶対に諦めません。
 真のお母様の勝利圏によって、天の父母様の位相が明確になり、天の父と天の母が、天苑宮・天一聖殿入宮式を通して表に出てくるようになりました。天の父母様を中心として歴史が大きく変化する時代を迎えています。
 神観、神の位相が現れるとともに、宗教の壁は崩れ始め、国境も崩れ始めます。親が立ったからです。全ての宗教は、人類の親である天の父母様の前に胸襟を開いて一つになるだけです。改宗する必要はありません。天の父母を共有するだけです。
 兄弟姉妹たちが、それぞれの個性を生かしながら父母を共有する。これが、他宗教の方々と接するときの一番のポイントです。神様が人類の父母であることが分かれば、人類に真の父母が必要だという話に自然となります。
 韓民族は選民として神様の訓練を受け、人類の真の父母を誕生させました。その使命を果たしたのです。今後、真の父母と共に摂理を進め、選民として責任を果たすのは祝福家庭です。
 真のお母様は、このように語られています。
 「天の父母様の夢、人類の願いは、地上で天国生活をすることです。そのため、全ての祝福家庭、天寶家庭は、その場にとどまってはいけません。責任を果たすべきです。責任です。独り娘・真の母一人ではいけないのです」(『世界家庭』2025年3月号8〜9ページ)
 天寶家庭、選民祝福家庭に与えられた責任は、言うまでもなく神氏族メシヤです。これ以外に真の父母に似る道もなく、真の父母の勝利圏を相続する道もありません。神氏族メシヤは、私たちの宿命です。現場で兄弟姉妹を指導するときに一番に気にかけるのは、神氏族メシヤをいかに勝利するか、いかに果たすかです。彼らに、〝果たしたい!〟という気持ちをどのようにつくってあげるかです。

天国は信仰ではなく、心情によってつくられる

 二世が貴いのは、一世が貴いからです。一世は真の父母を中心として生きる人生を選び、祝福を受けて神の血統に入ることを決意しました。真の父母を親とすると決めたのです。その信仰の基台の上に生まれてきたのが二世です。二世としてのアイデンティティーは、一世の信仰を基にしています。
 真のお母様は多くの先輩家庭の前で「信仰で天国はつくれない」と語られました。一世たちは、天の前に信仰を立て、蕩減路程を歩み、愛する家族を置いて世界宣教に出ていきました。その功績は大きいです。しかし、天国は心情の世界であって、信仰の世界ではないというのです。父母を信じる群れではなく、父母を父母とする子女が求められています。
 一世は信仰によって自らをつくり上げてきました。目の前にいる父母が、本当に私の父母であると言えるように挑戦していかなければなりません。
 二世たちを見てください。何の抵抗もなくパーッと真の父母様の前に駆け寄っていきます。そういう心情が先にあって、天国なのです。もちろん、二世たちに信仰訓練は必要でしょうが、「真のお母様! 私たちがいるので、ご安心ください」と自然に言える心情はすごいです。その心情世界を確実に育てながら新しい時代を切り開いていかなければならないのです。
 今回の祝福式に日本から千二百人が参加しました。新郎新婦たちの姿を見ていると、〝いやー、時代は変わった〟と思いました。彼らに、解散命令の裁判で闘っている雰囲気はみじんも感じません。〝私たちは天国にいます!〟という世界が広がっていて、本当に素晴らしかったです。こういう二世圏が真のお母様の心情の相対となってお支えしているということをありがたく感じました。

 最後に、「天一国時代の選民祝福家庭の位相」について、次のように四つにまとめてみました。
 ①創造原理の着地点(三大祝福・四大心情)
 創造原理は、人に語り、伝える〝貴い教え〟でとどめてはいけません。「私の家庭」に安着させるものです。
 ②天の父母様の安着点(神家庭)
 天の父母様のことを、知的に理解しているだけではいけません。私たちの家庭に天の父母様をお迎えするのです。
 ③真の父母理想の安着点(真の愛と伝統の基地)
 真のお母様の大きな関心事は、ご自分がいつ霊界に行かれるかということです。未来永劫、真の父母が地上に存在するかどうかは、今、私たちが、真の父母を中心とした生活圏を築き、その愛の伝統を、いかに二世圏、三世圏に相続させるかにかかっています。
 ④選民祝福家庭の使命と責任(神氏族メシヤと国家の復帰)
 真の父母様は使命を全て果たされました。あとは、私たち選民祝福家庭が、神氏族メシヤをはじめとする使命と責任を成し遂げるだけです。それは、教団に対する解散命令の裁判の結果がどうであろうと関係がありません。
 天務院からの特別メッセージの中で大切と思われる箇所を読みます。
 「命は母が誕生させるものです。神日本を復活させ、世界を救うためには、神日本の祝福家庭、食口が、堂々と立っていなければなりません。天が一日に何度も、全世界の全ての祝福家庭の共同体に、何としても神日本の教会を救わなければならないとおっしゃっているように感じます。それは正に、天のお母様のみ意、真のお母様の切実なる心です」(本誌5月号23〜24ページ)
 「真のお母様のみ言のとおり、どうか勇気を失わず、強く、雄々しく前進する私たち全員になりましょう! 全世界の全ての祝福家庭、食口は、神日本の教会のため、心を込めて祈り続けます」(同27ページ)
 真のお母様から愛され、全世界の兄弟姉妹たちによって祈られている神日本の祝福家庭、食口です。
 真のお母様と一つになり、お母様が安心してごらんになれる日本になるように前進していきましょう。天は、母の国・日本の、世界のために生きた苦労と犠牲を記憶されています。日本の先輩家庭が投入してきた努力と功績はとてつもなく大きいです。私たちは誇りを持って社会と向き合っていかなければなりません。
 日本家庭連合は、日本を救う使命を天から授かりました。いかなる迫害があろうとも、日本を母の国として立てていかなければなりません。私たち選民祝福家庭は、その使命を必ず果たすという強い信念を持って、それぞれの責任を全うしていくのです。