聖殿と、天を中心とした生活

 九月十九日、新しく建設された福山家庭教会(東広島教区)に天の父母様聖会の方相逸・神日本大陸会長夫妻を迎えて「献堂記念礼拝」が行われました。説教に立った方相逸・大陸会長は、聖殿建設に貢献した教会員たちを慰労するとともに、聖殿の持つ貴い価値について訴えました。ここでは、その内容と藤之原和代・大陸会長夫人の挨拶をお届けします。(文責・編集部)

 皆さん、本当におめでとうございます。新しい聖殿が建設されて、心は晴れやかで、誇らしい気持ちに満ちていると思います。金允坤教区長、清川まち子婦人代表をはじめ、食口の皆さんの精誠に心から感謝申し上げます。
 また、この地を開拓された大西和子さん(777家庭。夫は英敏さん)や、六年間牧会者として歩まれた前川稔・浩子夫妻(777家庭)、後輩食口のために今もなお、尽力される羽原榮一・恒子夫妻(777家庭)など、先輩家庭の皆様にも感謝申し上げます。

聖殿は神様が臨在される聖なる場所

 日本全国でこのように美しい教会が次々に建設されています。八月八日には、八王子家庭教会(多摩東京教区)の献堂式が行われました。地上四階地下一階のりっぱな建物で、来賓の地方議員は口々に、「家庭連合のパワーはすごいね」などと感想を述べていました。
 皆さん、真のお母様がおっしゃったとおり、今は黄金期です。お母様がそのように祝福してくださっても、〝私とは関係がありません〟と思っている人がいます。それでは、教会は発展しません。お母様が祝福してくださった、このみ言を何よりも大切にしなければなりません。み言から生命は始まります。み言を無視してはいけないのです。
 私は、人口十万人当たり、一つの教会が必要だと考えています。三原市の人口は約九万人、尾道市は約十三万人で、それぞれ教会があります。福山市は約四十七万人ですから、この地域には本来、四つの教会が必要だと思います。
 聖殿は〝聖なる場所〟です。ここはまだ完成したばかりで、壁には絵画など一枚も掛けられていませんね。真のお父様は、「神様が臨在される聖殿は、自分の家よりも貴い場所」とおっしゃいました。そうであれば、自分の家にある一番の宝物を、自分の家ではなく、聖殿に置かなければならないのではないですか。
 壇上から見ると、照明が少し暗くて、後ろの人の顔がよく見えないように思います。高級感のある素晴らしい照明なのですが、聖殿は、そこに入った瞬間、霊的に明るさを感じられなければなりません。「絶対善霊がたくさん協助している」と思えるような雰囲気が必要なのです。
 皆さんは電気代のことを考えて、自宅ではできるだけ照明を使わないようにしているのではないでしょうか。節約は大切なことですが、暗い所はサタンが好み、明るい所には神様がいらっしゃいます。夜は怖いけれど、昼は怖くないでしょう。ですから私たちは、いつも心を明るくしていなければなりません。
 「人は中身が重要」と言われます。いくらきれいな服で装っても、悪なる心を持って周りに迷惑をかける人は悪い人間だと言わざるをえません。もし、ここに二百人のヤクザが座っていたらどうでしょうか。ここはヤクザの拠点となり、聖殿とは言えないでしょう。ここに集うのが、天の父母様(神様)と真の父母様を心の中にお迎えして侍り、ために生きている祝福家庭だからこそ、貴い聖殿だと言うことができるのです。

 一九五四年、韓国・ソウルで統一教会(家庭連合)が創立されました。今思えば、その建物はバラックのような粗末なものでした。さらにさかのぼると、真のお父様は釜山のポムネッコルで土石とダンボールで小屋を造って生活されました。そこで「原理原本」の執筆を完了して伝道を始められたのです。そして、集ってきた人々に向かって、「世界を統一する!」と訴えられました。
 当時は、「こんなにみすぼらしい所に住んで、何を言っているのだろう」と不思議に思った人もいるでしょう。しかし、真のお父様は生涯、その信念を貫き、真のお母様と共に今の世界的基盤を築いていかれたのです。
 それから約七十年になる二〇二三年までに、真のお母様は天の父母様をお迎えする「天一聖殿」を完成させようと全力で取り組まれています。天苑宮を訪れた人々が、見学を終えたときには、皆が「私は家庭連合に入会したいです!」と言うようになるくらいの聖殿にすることを願われています。
 私は台湾の呂秀蓮・元副総統を連れて韓国・清平を訪問したことがあります。呂秀蓮・元副総統はその職を八年間務めた女性で、台湾の人々からとても尊敬されています。一泊二日の日程で、天正宮博物館、天城旺臨宮殿、清心平和ワールドセンター、孝情文和苑(旧清心国際青少年修錬院)、清心ビレッジなどの施設を案内しました。
 そのとき、呂秀蓮・元副総統は、「私はこれまで、ローマのバチカンをはじめ、世界の聖地を巡ってきましたが、これほどまでに広大で美しく、聖なる気が満ちている所はありませんでした」と感想を述べました。そして、事あるごとに、「真のお母様は……」と口にし、お母様を称賛していたのです。
 呂秀蓮・元副総統は、み言を十分に聞いていたわけではありませんが、天正宮博物館を中心とした清平の景色を見て、食口のようになってしまったのです。私たちの教会は、これからそのような素晴らしい時代を迎えます。

心の中を占める天の父母様と
真の父母様の存在を確認する

 一六二〇年、英国の清教徒たちが信仰の自由を求め、彼らを含む百二人がメイフラワー号に乗って北米大陸に渡りました。皆さんは、エンパイア・ステート・ビルディングをご存じですか? それは、米国を象徴する建物なのですが、彼らの偉業を称えて百二階にしたと言われています。彼らが最初の冬を越えたとき、飢えや寒さで約半数が亡くなっていたそうです。そのような厳しい環境で最初に建てようとしたのが教会でした。そして、子女を教育するための学校を造ってから、自分たちが住む家を建てようとしたのです。
 当時、ヨーロッパから南米大陸に渡る人が多くいました。彼らは金や銀をはじめとした鉱物を獲得し、富を得ようとしていました。一方、あの清教徒たちは物質的な豊かさを求めていませんでした。ただ、神様と一緒に住むことだけを願っていたのです。神様は彼らを祝福され、その後孫は繁栄の歴史を築いていきました。三百年たった頃には、米国は世界に大きな影響力を持つようになり、四百年を経た今、経済や軍事、あらゆる面で世界のトップに立っています。
 私たちの生活には優先順位があります。まず意識すべきことは天の父母様、真の父母様のことです。そして、天の父母様が心の中でどのくらいを占めているのか、各自が常にチェックしなければなりません。真の父母様に対しても同じです。願い事があるときだけ、「天の父母様、真の父母様……」と祈り求めるようではいけないのです。一日の初めから終わりまで、天の父母様、真の父母様の存在を感じながら歩んでいきましょう。
 皆さんは登山が好きですか? ここにいる方の中にも、山頂で「ヤッホー」と叫んだことがある人がいるでしょう。韓国人であれ、日本人であれ、頂上に着くと大声でそのように叫んで、「こだま」が返ってくるかどうかを試します。その「ヤッホー」の語源が何かご存じですか? 諸説あるのですが、その中に「ヤハウェ」から来ているという説があります。ヤハウェはイスラエル選民が大切にした神様の呼び名です。
 簡単に紹介します。昔、あるドイツのキリスト教宣教師が登山をしました。大変な思いをして頂上にたどり着いたとき、目の前に広がる美しい景色に感動して、神様に感謝する思いを込めて「ヤハウェー」と叫んだというのです。私たちも登山をする機会があれば、「神様、感謝します!」という思いを込めて、叫ばなければならないですね。
 皆さんに怨讐となる人がいて、登山中、その人への怒りでいっぱいだったとしましょう。その状態で頂上にたどり着いて、「バカヤロウ!」と叫んだらどうでしょうか。「バカヤロウ、バカヤロウ、バカヤロウ……」とこだまが返ってきます。相手にぶつけたはずなのに、自分が、「バカヤロウ」と繰り返して言われることになるのです。
 感謝しながら「ありがとう!」と叫べば、何倍にもなって感謝の言葉が届きます。私たちは言葉に気をつけなくてはなりません。この聖殿に悪い言葉があふれるのではなく、天を讃え、兄弟姉妹を賛美する愛の言葉が満ちるよう願います。
 そのためにも、たくさん祈ってください。誰しも苦手な人や愛しづらいタイプの人はいるものです。その相手のために、葛藤を超えて祈るのが信仰者です。祈りには恐ろしいほど力があります。相手を殺したいと思うほど激しい怒りが湧いていたとしても、真の父母様のご尊影の前で目を閉じ、祈り始めると、いつの間にか怒りは収まり、「天の父母様、どうか、足らない私をお赦しください。そして、あの方に恵みをお与えください」と願うようになります。心が一八〇度変わるのです。本当に不思議なことです。
 ここにはりっぱな祈祷室も備えられました。食口の皆さんの祈りと涙が絶えない教会になることを願います。

 真のお母様は第一次七年路程を勝利されましたが、そのうち三年間は侍墓生活をしておられました。韓国では伝統的に、父母が亡くなると長男が三年の侍墓生活を行います。厳格に伝統を重んじる人は、父母のお墓の隣に小屋を建てて住み、お墓を守りながら暮らします。そのようにして、親が地上にいる間に孝行できなかったことを深く反省するのです。
 それを、真のお母様は長男に代わってなさったのです。朝、昼、夜に墓前に赴き、あるときは六回、あるときは十二回以上も訪ねて、真のお父様のために祈りを捧げられました。そして、侍墓生活三年の勝利を土台にして、四年間、世界を何周もされ、七か国を天の前に復帰していかれたのです。
 昨年二月には、真のお父様のご聖誕百周年、真の父母様の天宙聖婚六十周年を記念して、「ワールドサミット二〇二〇 世界平和頂上連合総会」など、家庭連合の歴史の中でも特筆すべき行事が行われました。
 その直前には、中国・武漢で新型コロナウイルスによる感染症が発生して、行事の開催が危ぶまれました。尹煐鎬・世界本部本部長が、真のお母様に世界の感染状況をご報告し、予定どおり開催するかどうかお尋ねすると、お母様は、「私たちは天の父母様、真のお父様のために何年もかけて準備してきました。天の父母様が導いてくださり、絶対善霊が必ず守ってくれます。心配せずに進めなさい」と激励されたといいます。
 ワールドサミット二〇二〇には、カンボジアのフン・セン首相や国連の潘基文・前事務総長をはじめ、世界の指導者が六千人参加し、誰一人、感染した人はいませんでした。天の父母様が真の父母様、家庭連合と共におられることがはっきりと示されたのです。その後、真のお母様は天の父母様聖会の出発を宣布し、天寶入籍祝福式を挙行していかれました。天の摂理が一気に加速したのです。
 第二次七年路程が始まり、真のお母様はインターネットを活用され、百万希望前進大会、神韓国、神日本の地区別希望前進礼拝を通して、世界の指導者や食口たちを教育してこられました。私には、七年間にすべきことをたった一年で成し遂げてしまわれたように感じられました。お母様は正に一年を千年のごとく歩んでおられるのです。

運勢があるときに
大きく発展しなければならない

 昨日(9月18日)、韓国・清心平和ワールドセンターを会場にして、「シンクタンク二〇二二フォーラム」(主催・天宙平和連合〈UPF〉)が行われました(24ページにリポート)。映像を通して米国のマイク・ポンペオ前国務長官が基調演説を行い、ポンペオ前国務長官との質疑応答では、韓日米から各四人のパネリストが参加しました。米国のニュート・ギングリッチ元下院議長やクリストファー・ヒル元駐韓米国大使らがパネリストを務め、正に国家的指導者たちによる討論の場となりました。
 時代は変わりました。米国の最高の指導者たちが、韓国と日本の指導者たちと共に、神統一韓国のため、神統一世界のために議論する時が来たのです。
 食口たちの中には、家族や親族に信仰を反対されたり、マスコミの偏向報道の影響を受けたりして心が傷つき、家庭連合の信仰を持っていることを周囲に証しできない方もいると思います。しかし、家庭連合ほど、明確なビジョンを持って活動している宗教団体はありません。自信を持ってください。
 私は、自宅で夕食を取るときは、食後に妻と一緒に一時間ほど散歩します。そのコースの中に、日本で大きな影響力のある宗教団体の施設が三軒あるのですが、この一年、電気がついているところを一回も見たことがありません。私たちの教会は、どこに行っても夜遅くまで電気がつき、食口たちが熱心に活動しているでしょう。信徒数ではその団体に及ばなかったとしても、一人一人の天のみ旨に対する情熱は大きく上回っています。しかも、孝情に燃える二世・三世が育ってきています。ですから、いずれ数的基盤においても、その団体を凌駕する時が来るのは間違いないでしょう。

 皆さん、本当にりっぱな聖殿をよく準備してくださいました。これも大きな運勢です。これから三年間が勝負です。三年間で発展できなければ、この建物を売ってしまうというくらいの覚悟が必要です。三年間で、二倍、三倍に発展できなければ、その後に大きく発展するのは簡単ではありません。私たちは常に、運勢が来ているときに、それをつかまなければならないのです。
 私は、今回の献堂式の詳細を真のお母様にご報告します。聖殿建設に込められた皆さんの貴い心情を決してこぼしません。このたびは、本当におめでとうございます。これからもみ旨成就のため、共に精誠を尽くしてまいりましょう。