天に侍り、自らの責任を果たす一年に

 一月六日、東京・渋谷の松濤本部で「二〇二五天の父母様聖会 神日本大陸 始務式」が行われました。メッセージに立った田中富広会長は、年始に真のお母様から頂いたみ言を紹介し、今後の摂理や神日本家庭連合の取り組みについて説明したうえで、「二〇二五年は、皆さんと一緒にお母様をお支えし、お母様を解放してさしあげる一年にしたいと思います」と抱負を述べました。(文責・編集部)

乙巳の年は、〝積み重ねられた
努力が実り、成長が促される年〟

 新年、おめでとうございます。
 昨年は、各部署において皆さんのご協力を頂き、無事に歩み終えることができました。心から感謝申し上げます。
 私は韓国で新年を迎えました。大みそかから元旦にかけて行われた徹夜祈祷会で、真のお母様と共に新年を迎え、翌日、天正宮博物館で持たれた朝食会に呼んでいただきました。
 きょうは、その場で語られた真のお母様のみ言を通して感じた内容や、私たちが改めて自覚すべき点について共有したいと思います。
 二〇二四年は「青龍の年」でした。一月一日に発生した能登半島地震、二日の羽田空港での飛行機事故で一年が始まり、韓国の務安国際空港で起きた飛行機事故(12月29日)で締めくくられることになりました。
 真のお母様は、能登の大地震と翌日の飛行機事故の直後に動かれました。間髪入れずに李基誠・天心苑苑長を日本に送ってくださり、天心苑祈祷を本格的にスタートするようにされたのです。私は、李基誠苑長を通してお母様の強いご意向が日本に向けられたことを、はっきりと自覚しました。また、お母様と完全に一つにならない限り、今という「時」を超えられないのだと実感しました。
 そのようにして、日本に天心苑祈祷を中心とした霊的支柱が立てられ、一年がたちました。
 二〇二五年は乙巳の年です。真のお母様は年頭のみ言(8ページに全文)で、今から百二十年前の乙巳の年に韓民族が味わった痛みについて言及されました。一九〇五年に日本と韓国の間で乙巳保護条約が結ばれ、韓国の外交権が日本に接収された時でもあります。
 六十年前の乙巳の年である一九六五年には、日韓基本条約が調印されて両国の国交が正常化しました。父母国家である韓国と日本は、天から大きな期待と願いを受けているのは間違いありません。真のお母様と完全に一つになって、二〇二五年がどのような年になるのかしっかりと見極め、前進していきたいと思います。
 また、今年は戦後八十年、韓国では光復節八十周年となる重要な年です。さらに、昭和百年に当たります。「戦後レジーム」と言われる、第二次世界大戦後に確立された世界秩序の体制や制度に、何か大きな変化がもたらされるのかどうかも気になるところです。
 一方で、乙巳の年は、〝積み重ねられた努力が実り、成長が促される年〟とも言われます。そのごとく、私たちは「変革と成長」というテーマを掲げてすでにスタートしています。

神様を父母として侍って生きる
「神家庭」になろう

 真のお母様は、年始のみ言で新しい年頭標語を発表されました。

 「創造主・天の父母様に実体で侍って生きる天一国十三年、全世界の祝福家庭は、真の父母様と一つになった選民として責任を果たす天一国の真の子女になろう!」

 その第一のキーワードは、「実体で侍って生きる」、第二は、「真の父母様と一つになった選民」、第三は、「責任を果たす」です。「責任」という言葉については、真のお母様が朝食会でも改めて言及されました。そのことからも「責任」というテーマが特に重要だと分かります。
 人間始祖アダムとエバの堕落から六千年を経て、この地上に神様を父母として迎える歴史的大事件が起きようとしています。その日に向かう真のお母様の波動と、私たちの波動とのギャップが、お母様をずっと苦しめてきました。
 神様を父母として迎えるのは、天一聖殿という建物ではなく、私たち子女です。私たち自身に、神様を自分の父母として地上に迎えようとする責任心情が足りていない点を、真のお母様は懸念されています。私たちが、〝歴史的大事件が起きたら、どのように変化するのだろう……〟と傍観しているうちは、何も変わらないでしょう。〝私たち子女が神様を父母として地上にお迎えする!〟と、強い意志を持ってこそ、歴史的大転換を実感することができるのです。
 祝福家庭は、創造原理、天の摂理、神様の太初の夢を自らの家庭で成就させるという強い自覚が求められています。これがなければ、地上に天の父母様(神様)、真の父母様が未来永劫にわたり存在することは難しいのです。何百年たっても地上に真の父母様が存在するためには、そこに父母を父母として侍る子女がいなければなりません。
 未来を決めるのは、子女である私たちです。家庭に天の父母様と真の父母様をお迎えして共に生きる生活信仰が定着しなければ、真の父母様のお姿は、ただの偉人伝として残るだけになるでしょう。
 年頭標語に「実体で侍って生きる」と入れられた真のお母様の思いを、子女としてしっかり受け止めていきましょう。私たちが目指すのは、「神家庭」です。神様を知っているだけではいけません。神様に侍って生きる二〇二五年にしていくのです。

選民としての自覚を強調される
真のお母様

 昨年、日本の指導者たちは「韓民族選民大叙事詩」を学びました。今年は、全国の食口、祝福家庭たちが学ぶことになると思います。私たちは、真の父母論や韓民族選民大叙事詩の重要性について、どれだけ理解しているでしょうか。真のお母様は、そこにもご自身とのギャップを感じ、心を痛めていらっしゃいます。
 当初、真のお母様は、「韓民族大叙事詩」と題して教育の準備をするように願われ、あとから「選民」という言葉を付け加えられました。そこには〝自分の意思では選民になることはできない。選民が選民たりうるのは、神の召命、神の定めがあるからである〟との考えが込められています。
 選民の背後には、天の摂理、み旨があります。神様がみ旨成就のために必要な民族を召命されるのです。韓民族の大きな使命は、再臨のメシヤと初臨の実体聖霊を迎えることでした。真のお母様は韓民族にその自覚がないことを嘆かれ、「世界日報」で韓民族選民大叙事詩の関連記事が連載されるようになりました。
 真のお母様は、朝食会でこのように語られました。

 「真の父母を誕生させるために、天が韓民族を選民として育ててこられたことを、大韓民国の民が、指導者たちが、皆知らなければなりません。天の父母様に侍るようになれば、全て解決されます」(2025年1月1日)

 韓民族が選民としての自覚を強く持たなければ、真正なるアダム国家になることはできないと危惧し、そのお気持ちを吐露されたのです。
 さらに、真のお母様は、地上に再臨のメシヤ、初臨の実体聖霊・独り娘を迎えた現在、選民は一地域に限定された民族ではなく、「祝福家庭」自身であるとも強調されます。お母様は、祝福家庭の使命は「神氏族メシヤ」の勝利であると言明されており、その成就は「神家庭」がベースとなります。
 神氏族メシヤ勝利の延長線上に天寶の勝利があり、その延長線上に「神国家」があります。国家の復帰は神氏族メシヤの勝利的な基盤を通して成すのです。
 神様の夢である人類一家族世界の実現に必要なものは、神に侍る家庭、神に侍る神氏族メシヤ、神に侍る国家です。その願いを込めて、真のお母様は、家庭、氏族メシヤ、国家の前に「神」を付けて表現していらっしゃるのです。

祝福家庭として、生涯、自らの
意志で責任を持って生きる

 真のお母様は、「責任」ということについて、このように語られました。

 「創造主が天地万物を創造されるとき、ご自身のかたちに似せて創造されました。最後に人間始祖には責任を与えられました。自ら完成の位置まで進んでくるのを待たれたのです。
 ……自ら成長し、責任を果たす立場まで進まなければなりません。……そのような時であったため、全てを放棄し、『私がします』と言いました。
 今まで人類歴史は男性中心で流れてきました。ですから、いつも不安で争いが絶えませんでした。家の中の平和は、母親がうまくやらなければならないのです。堕落した人類には母親が必要です。それを知っているので、『私がします』と言ったのです。
 それで一九六〇年に真の父母が誕生したのです。そのときから祝福家庭が誕生するようになりました。
 ……基元節、新しい時代、新しい歴史は私が開きました。誰も私のことを知ろうともせず、信じない状態で、私は米国のキリスト教牧師たちを前にして、『私は独り娘である』と言いました。
 ここで私が強調したいのは、どのように生まれたとしても、責任を果たせなければ完成はないということです。それも、私と一つになってです。ですから、元旦のみ言のとき、『責任』という言葉を私が話せなかったようなので、もう一度、入れるように言ったのです。
 自分で成長しなければなりません。全部教えてあげ、方法も示してあげました。責任を果たせなかった立場は、地上で分からなくても、永遠の世界では、とても不便でしょう。
 そうならないために地上で責任を果たす祝福家庭になりなさいということです。そうしてこそ、天の父母様の夢、地上天国の中で、天の父母様に侍る真の子女となるのです」(同)

 真のお母様は、ご自身が、地上で責任を持って生き切ると意志を表明されるとともに、私たちが祝福家庭として、生涯、自らの意志で責任を持って生きるように願われたのです。
 真のお母様は年頭標語に対して「きょう、乙巳の年から始まり、代々続いていく元旦のみ言です」と語られました。それほどの思い、願い、期待が込められています。祝福家庭として、責任を持って天の父母様を地上に安着させてさしあげられるように全身全霊を尽くしていきましょう。
 私は一年間、全国を巡回してみて、〝私たちの教団は絶対に地域化に向かっていかなければならない〟と確信しました。私たち祝福家庭は、どんな職業、どんな役職に就いていたとしても、氏族メシヤを勝利しなければなりません。縦的四百三十代の先祖解怨・祝福、横的四百三十家庭の氏族基盤造成をはじめ、神様をいかに着地させてさしあげるかが、私たちの最も重要なテーマなのです。

今後、間違いなく展開される
私たちと深く関わりのある摂理

 四月十三日に向けて、真のお母様は天のタイムスケジュールに沿って歩んでおられ、今後、どのように摂理が変化するか分かりません。ですから、この場では、今年の明確な方針を発表することはできませんが、これから間違いなく展開され、私たちと関連が深いと考えられる摂理の内容だけ共有しておきます。
 一つ目は、天苑宮・天一聖殿の完成と新しい希望の始まりです。
 真のお母様は、天苑宮を中央本庁とし、今後の摂理において中央本庁が重要な役割を果たすと語られています。中央本庁を中心とするガバナンスがどのような形態になっていくのかは、まだ定かではありませんが、枠組みが見え次第、総合戦略を立てていこうと思います。
 二つ目は、帝王蝶の未来の始まりです。
 帝王蝶は、真のお母様がよく例に出されるオオカバマダラという蝶のことです。四月十三日の式典で帝王蝶をモチーフにした儀式が持たれます。その式典に向けて帝王蝶をモチーフにした曲も作られています。
 帝王蝶はメキシコと北米の間を大移動します。メキシコから北米に向かうときは、三代、四代かけて飛んでいきます。人間で言えば、子供、孫、ひ孫と命をつないで渡っていくのです。一方で、北米からメキシコへの南下は一代で成し遂げます。うまく気流に乗って渡ります。
 真のお母様は、世代を超えて同じゴールに向かって突き進む帝王蝶のことを心に深く留められ、帝王蝶の儀式が挙行されることになりました。その儀式には信出様ご夫妻と信興様ご夫妻が参席されます。天の父母様の夢の実現という共通の目的に向かって、お母様と共に船出するような場になると思います。
 私は、次世代圏に対する理想と責任を明確にしたうえで、新時代のスタートを切ろうとされる真のお母様の強い意志を感じています。私たちも、お母様に侍りながら、未来に向けた姿勢を整え、天の摂理に対する理解を深めていかなければならないでしょう。
 三つ目は、天心苑を中心とした霊性の啓発と、家庭連合と統一運動推進団体(友好団体)が協働して進めている環境創造という二元体制の安着です。
 私たちは、霊性の啓発をベースとしながら、祝福家庭あるいは運動体として、地域や国の中で安着していかなければなりません。
 皆さんは日々、熱心に徹夜精誠を捧げていることでしょう。ただ、捧げること自体が目的ではないと理解しておかなければなりません。徹夜精誠を通して、日常生活や、神様を安着させてさしあげようとする自らの姿勢がどのように変化するかに着目する必要があります。
 神家庭、神氏族メシヤ、神国家に向かって自らの霊性を啓発していくとともに、霊界の真のお父様と絶対善霊と一つになって、どのような未来をつくっていくのかが、改めて問われていきます。生活信仰、生活伝道、生活教育を定着させていくためにも、この二元体制が果たす役割は大きいと感じます。

神日本家庭連合が注力していく
取り組み

 神日本家庭連合として、今後、力を入れていく取り組みについても触れておきます。
 第一に、地域化を積極的に推進していきます。地域を天一国化する戦略を定着させていくのです。これは、家庭連合に対する解散命令を阻止するための対策というレベルの話ではありません。
 私たちは、各自が家庭をしっかりと地域に着地させて神氏族メシヤを成し遂げていきます。そして、その延長線上で地域レベルの復帰、国家レベルの復帰へと向かっていくのです。地域に向かっていくための家庭の着地の在り方を、本気で追い求める闘いが始まります。
 真の愛に生きる、ために生きる、その文化を、家庭同士や地域との関わり合いの中で定着させることができるかどうかが問われていきます。この、家庭レベルでの草の根運動を確実に着地させ、地域、国家、世界の明るい未来の到来に寄与していきましょう。
 第二に、帝王蝶の儀式に象徴される、一世と未来世代との連携を図っていきます。この教団は、間違いなく世代交代をしなければならない段階に入っています。天の願う文化を着地させるため、後世に残すべき点と変革すべき点を見極めなければなりません。
 第三に、教団における自助、共助、公助の在り方を模索していきます。自助、共助、公助のバランスを適正に保てるように本部と現場が一丸となって取り組んでいきましょう。未来世代にバトンタッチすることのできる教会をつくるために万全の準備をしていくのです。

友好団体と連携し、
宗教と家庭の価値を復権させる

 家庭連合と友好団体が連携し、国づくりに欠かせない宗教の復権と家庭の価値の復権を目指します。これは、未来世代にとっても重要なテーマであり、私たちがその道筋をしっかりつけていかなければなりません。
 宗教と家庭の価値の復権に対峙するのが共産主義です。その信奉者との衝突は避けられません。社会に向けて、共産主義に対する明確な姿勢を打ち出しながら、臆することなく、全国で真の家庭づくり運動を展開していきましょう。
 二〇二五年は、皆さんと一緒に真のお母様をお支えし、お母様を解放してさしあげる一年にしたいと思います。
 本年も、よろしくお願いいたします。