愛天・愛人・愛国の道を生涯貫いていこう

 二〇二四年十一月二十日、東京・渋谷の松濤本部で「世界平和統一家庭連合創立六十五周年・法人認証六十周年記念式典」が行われました。記念の辞に立った田中富広会長は、親として私たちと向き合ってくださる真のお母様のご心情を証しし、「人類の真の父母と共に歩むことのできる奇跡の時代です。一日一日を大切に、地上生活を歩んでまいりましょう」と参加者に呼びかけました。(文責・編集部)

救国救世を叫ぶ、その魂とDNAは、
食口たちに綿々と受け継がれている

 日本家庭連合創立六十五周年および法人認証六十周年、おめでとうございます。(拍手)また本日、各賞を受賞された皆様、おめでとうございます。(拍手)心からお祝い申し上げます。
 天の摂理において、「韓民族選民大叙事詩」の観点から見れば「怨讐」という冠のつく日本に、尊い天のみ言の種がまかれ、「雄鶏舎」(東京・新宿)の二階で、たった四人によって最初の礼拝が捧げられてから、六十五年がたちました。
 一九五八年、まだ日韓両国に国交が結ばれていないとき、一人の韓国人宣教師が日本に命懸けの上陸を果たしました。「再臨主が来られた! 地上天国が到来する!」と、天命に従ってみ言が宣布される中、神様は一人、二人と、志あふれる先輩方を導いてくださいました。
 統一原理のみ言は、日本と世界の行く末を見詰める青年たちに、夢と希望、生きる目的を示し、全国で伝道の渦が巻き起こりました。そのうねりに脅威を感じた左翼思想を信奉する勢力は、「親泣かせの『原理運動』」というゴシップ記事で連日メディアを騒がせ、「統一教会は韓国へ帰れ!」と訴えました。そのようにして草創期の大迫害が起きたのです。
 日本を覆い尽くそうと勢いづく共産主義勢力に対抗するため、真の父母様は、国際勝共連合を創設して真っ向から対立軸を打ち立てられました。それに呼応した多くの先輩たちは、「共産主義は間違っている」と記されたたすきをかけ、街頭演説を行い、街を練り歩きながら、共産主義の脅威を訴え続けました。時には、共産党の委員長だった宮本顕治氏が「スパイ査問事件」で網走刑務所に収監されたことを糾弾し、右手に『原理講論』、左手に勝共理論と、天の武器を携えて、共産主義者たちに真正面から論戦を挑み、数々の勝利の凱歌を揚げたのです。
 本年(2024年)十一月の冒頭には、家庭連合の友好団体である勝共連合が主導し、全国で勝共遊説が行われました。その数は七十か所を超えます。愛国の叫びが街角から響き渡ったのです。先輩方が、天を愛し、人を愛し、国を愛して、救国救世の声を上げ続けた、その魂とDNAは、食口たちの中に、神の子たちの血統の中に、綿々と受け継がれていると確信します。

神日本全体を大きく揺さぶった
家庭連合との関係断絶宣言

 今から十二年前、私たちは、神の国が一国もない立場で、真のお父様を霊界にお送りしてしまいました。神の国を持たない惨めさを、誰よりも体感してこられたのは、真のお母様でしょう。
 私たちは、安倍晋三元首相の銃撃事件以降、国のない民のような苦悩を、心底味わってきました。国家と対峙するということが、どれほど大変なのかを痛感し、今日もなお、苦しみの途上にあります。
 世界基督教統一神霊協会(家庭連合)が宗教法人として認証されてから、ちょうど六十周年。人生で言えば還暦であり、新たなステージを迎えるときです。このときに、日本政府によって、法人格としてふさわしい団体ではないという烙印が押され、解散命令請求が出されるという数奇な運命をたどっています。
 ビジョンなきリーダーが、自らの保身のためにもたらした、家庭連合との関係断絶。この一つの選択が、神日本全体を大きく揺さぶることになりました。ゆがんだ情報に踊らされ、無責任に発せられた関係断絶宣言が、政治を巻き込み、国民を巻き込み、宗教界を巻き込み、民主主義の危機を招いているのです。
 当のリーダーは、事の重大さをみじんも感じてはいないのでしょう。嵐のようなメディア報道の中で苦悩のどん底に置かれたのは、全国の祝福家庭、兄弟姉妹たちです。ここに手にしているのは、『日本家庭連合の今〜被害実録2024〜』です。すでに読んだ方もいるかもしれません。私が記した巻頭言を、この場で改めて読ませていただきます。

 「いったい何が起こったのか? 紺碧の大空に雷鳴が響き、どこで発生したのか見極めるすべもなく、光を覆い尽くす雨雲。どんよりとした暗雲から大粒の雨が降り注ぎ、軒先に飛び込むこともままならず、いつしか洪水にのまれ始めていた。いつかやむかもしれないといった淡い期待は裏切られ、助けを求める声も嵐の中にかき消されていく……。
 こんな風景が、〝令和の魔女狩り〟とも称される世界平和統一家庭連合(家庭連合=旧統一教会)批判報道とともに、日本全国に広がっていった。どんなに叫んでも良識ある公平な報道への期待は裏切られ、真実の声は完全に遮断された。意図的に〝封殺〟されたという言葉が一番ふさわしいのかもしれない。
 安倍晋三元首相銃撃事件以降、どの報道番組やワイドショーを覗いても、『旧統一教会の専門家』とされる限られた顔のみが主要テレビ局を渡り歩き、批判情報の上塗りを重ねながら報道と世論を先導していった。銃撃事件発生とは関係なく、ずっと以前から『旧統一教会』の解散を目論んできた反対勢力はこの事件を最大の好機と位置づけ、総力を挙げて政治までも巻き込み、家庭連合に対する解散命令請求へと持ち込んでいった。
 家庭連合は1964年に宗教法人格を与えられて60年、その教義は一貫して変わることなく『他のために生きる』価値観を最優先し、救国救世の志を貫く多くの青年指導者を輩出してきた。また世界的ネットワークを活用しながら、平和世界の構築にも力を注いできた。しかし、その志とはいつも対峙する勢力があった。家庭の価値や宗教的価値を敵視する共産主義の価値観に立った勢力である。
 家庭連合の姿勢は、今も変わらない。なぜなら、いつの時代も人間の自由と平等の根源は、家庭の価値や信教の自由を抜きにして語ることはできないからである。日本をより良い国にするために、当教団の信者たちは命を惜しまず、人生を賭して、きょうも街角で訴えている。
 今に至っても、信者の声は国にも、メディアにも、国民にも届かない。むしろ封殺され、存在を否定され、信仰を持っていること自体が生きることへのリスクにもなっている。当時、現職の首相であった自民党総裁が『関係断絶』を宣言するや否や、同じように『関係断絶』を決議する地方自治体が各地に出現し、家庭連合の信者は普通に市民生活を送ることも許されない状況が生まれつつある。
 事件以来、過熱するメディア報道に日本中が煽られた結果、教団にもたらされた被害は甚大となった。教団施設への落書きや、施設契約破棄のほか、自動車販売店や複写機リース会社、仕出し屋、果物屋、イベント業者、花屋など、長く付き合いのあった業者からの『関係断絶』。また、郵送された脅迫文や脅迫メール、さらには脅迫電話や嫌がらせ電話は全国で数万件を超える。対応したスタッフの中には精神的に病み、うつ病を患って今も苦しむ者たちもいる。
 しかし、本冊子でその被害を証言している方々は、一般の信者の皆さんである。普通に生きることが許されなくなった、自分が信じる信仰を放棄するまで身の危険を感じながら生きなければならなくなった方々である。一方で、その危害を加える側に立った方々も、歪んだ情報に煽られ、真実の声が聞こえなくなった人々であることは否めない。
 ここに登場するのは、真実を届けるために、あえて声を上げた方々である。これ以上、被害を拡大させないために、一人でも多くの人に真実を知ってもらうために、そして何よりも、この日本において人間として生きる権利を取り戻すために。読者の皆様に少しでも彼らの心の叫びが届くことを願って、本冊子を出版する。皆様の本心に少しでも響くことを願いながら……」

 宗教法人に解散命令を下すということは、組織に対する「死刑宣告」と同じです。この時を逃すまいと、家庭連合の解散を叫ぶ反対勢力には、教団への殺意すら感じます。
 本日、お集まりの皆様は、国民の多くが、根拠なき報道に振り回され、教団の解散に賛意を表明する状況下で、かけがえのない霊的生命と向き合い、共に、天の父母様(神様)と真の父母様の願いに向かって前進してくださっています。そのことに改めて感謝申し上げます。

真のお母様と一つになっているか、
より問われる時代に

 真のお父様のご聖和以降、真のお母様は、先頭に立って神様の解放のために歩まれ、その最終段階を勝利的に超えるために全力でみ旨に取り組んでいらっしゃいます。神様を天の父母様として地上にお迎えする一日を五か月後に控え、お母様の中で日に日に高まる緊張感と、私たちの意識とのギャップを感じざるをえません。このギャップが、天の摂理を進めるに当たって、最大の障壁になっているのではと思うのです。
 なぜなら、父母を迎えるのは子女の責任だからです。迎える父母にふさわしい子女が、そこにいるのか。家庭的父母を迎えるのなら、家庭的レベルを勝利した子女がいなければなりません。氏族的父母を迎えるのなら、氏族的レベルを勝利した子女、国家的父母を迎えるのなら、国家的レベルすなわち忠臣として勝利した子女、世界的父母を迎えるのなら、聖人として勝利した子女、そして、天宙的父母を迎えるのなら、聖子として勝利した子女が必要なのです。
 それゆえ、真のお母様のみ前に立つときは、いつも、〝私はどのレベルでお母様と向き合っているのだろうか〟と自問しています。お母様は人類の母であり、天宙の母です。私たちは、天宙の母の心情と完全に一つとなった子女のレベルを追い求めていくべきなのです。
 先日、神日本の指導者たちが真のお母様にお会いしたとき、お母様がみ言を語ってくださいました。その一部を紹介します(10ページに全文)。

 「摂理歴史、人類歴史六千年を経て、真の父母によって、創造主・天の父母様の夢を地上で成すことのできる環境圏をつくりました。……人類は、平和な世界を願っています。方法は一つです。天の父母様に侍る運動、真の父母に侍ることによってのみ、人類が一つとなり、世界の平和が訪れるのです。……日本の全国民に『日本が生きる道は真の父母、独り娘・真の母と一つになることであり、そうしてこそ日本に平和な未来が訪れる』と伝えなければなりません」

 真のお母様のメッセージは、常にシンプルです。「私と一つになりなさい」。この一言に尽きます。お母様から「私と一つになりなさい」と言われた人が、どのように受け止め、どのように自分の中に落とし込んでいくのか。これが、本当に問われる時代であると感じます。

二世圏と真のお母様との心情圏で
つくられつつある新しい文化

 私たちは、真の父母様から頂いたみ言を通して、「原理」や摂理の理解を深めてきました。真の父母を受け入れてこそ、信仰の骨格が形成され、み旨の勇士、戦士として立っていけるのだという感覚があります。皆さんも、そのような指導を受けてきたでしょう。
 現在、私たちは、韓国・清平で行われている天心苑特別徹夜精誠で新しい文化が生み出されているのを目の当たりにしています。二世たちがたどりついている境地、私たちの想像を超える領域において、文化がつくられているのです。
 私たち一世が長年、築くように願われていた文化、それがすでに、二世圏と真のお母様との心情圏においてつくられつつあります。「原理」の理解もこれから、天のみ旨の実践経験もない、そのような二世たちが、お母様の心情世界にパーンと飛び込んでいっています。この心情世界は、私たち自身が、これまでに行ってきた訓練の次元を、さらに高くして突入すべき領域です。
 今年(2024年)の四月、神日本の指導者たちが真のお母様にお会いしたとき、お母様は、私たち指導者が、先頭を切って日本に責任を持たなければならないと訴え、指導者の在り方についても言及されました。そして、「頑張るんだよ」と激励してくださいました。
 その直後、衝撃が走りました。真のお母様が、〝でも、大丈夫です。神トップガン、二世たちが、私と一つになり、一本の針となって立っています。あなたたちは、彼らと一つになればいいのだから〟という内容を付け加えられたのです。私は、〝あー、言われてしまった〟という感覚を受けました。
 真のお母様は、二世たちとの一体感に確信を持ち、本気で語っていらっしゃいます。そのことを、私たち一世は、まだ受け止め切れていないのです。お母様には、二世たちとの未来が確かに見えています。〝これで大丈夫だ〟と確信できる一点があるのです。
 二世たちは、これからさらに訓練を受け、組織運営の力を身につけながら、リーダーとして育っていくでしょう。それは間違いありません。その前にすでに、いちばん大事な「要」を、真のお母様との関係でつかんでいるのです。お母様と共にあるこの二世圏を、私たちはしっかりと見詰めていかなければなりません。
 もう一つ、二世たちの証しを通して驚くことがあります。
 私には、〝自分はこうやって牧会してきた〟という過去の経験値があります。皆様もそうではないでしょうか。そのため、課題や葛藤が生じたときは、それを基にアドバイスを考えます。二世たちの越え方は、その範疇を超えています。全く違う次元で乗り越えているのです。

私たちと、親として向き合おうと
される真のお母様

 このようなことから、摂理は新しい時代圏に突入しつつあると実感せざるをえません。真のお母様は、「私と一つになりなさい。そこに見える世界があります」と強調されます。もちろん、私たちはお母様と一つになろうと努力してきましたが、今こそ、一つになったときに見える風景を、つかみとっていかなければなりません。
 来年(2025年)四月十三日に、天の父母様を地上にお迎えして、全く新しい摂理、大転換を迎えようとされている真のお母様です。お母様は一日一日、とてつもない緊張感の中で歩んでおられます。私たちがお母様と同じ風景を見られるようにならない限り、お母様の緊張感と、私たちの感覚との距離は縮まりません。これが、改めて突きつけられている課題だと思います。
 先日、全国の青年・学生を対象とした四十日路程の出発式がありました。その際、ある一世の青年リーダーが、清平での体験を証ししました。
 彼は、四歳の息子を清平に連れていったそうです。天心苑特別徹夜精誠に参加するとき、「夜も遅いから寝てもいいからね」と息子に言うと、「嫌だ!」と言って寝ませんでした。しばらくして、「十二時を過ぎたから寝ようね」と言っても、言うことを聞きません。そのとき、息子が、「僕は神様と約束したんだ。祈祷会に出ると約束したんだ!」と訴えたのです。そして、その息子は、大人たちに交じって、「アボジー」「オモニー」と大きな声で叫んでいたということでした。
 彼の息子のような純粋な心情に触れたとき、私たち一世に、確かな悔い改めが起きるのではないでしょうか。そのような心情こそ、私たちが求めているゴールなのだと感じます。
 私が、真のお母様にお目にかかったときに賜った衝撃的なみ言があります。それを、きょう、お集まりの先輩方とも共有したいと思います。
 「天国は、信仰のみではつくることができません。天国は心情の世界なのです」
 私たち一世は、み言を聞いて以降、命を懸け、人生を賭して、世界に出ていきました。それは、正に信仰を懸けた闘いです。しかし、その信仰だけでは、天国はできないというのです。天国は心情の世界なのだと。私たちが、父母が願われる心情世界に立つためには、どうすればいいのでしょうか。父母の前に、いかに無条件に子女の位置に立てるのか、それが問われているのだと思います。
 私は時々、真のお母様の前で失敗することがあります。一度、お母様のことを、「チャムオモニム(真のお母様)」とお呼びしてしまいました。日本の事情をご説明しているときで、相当、緊張していたのだと思います。
 そのとき、真のお母様は、「田中! 今、何と言ったの? もう一回、言ってみなさい。『チャムオモニム』ではなく、『ワンオンマ(お母さん)』でしょう」と迫ってこられました。
 真のお母様は、親として私たちと向き合おうとされているからこそ、〝あなたはどうなの?〟と迫られるのです。

日本に家庭の価値を取り戻してこそ
家庭連合が国家の希望となりうる

 本日は、公職者、牧会者、表彰対象者と共に全国の祝福家庭、食口の代表、各家庭会の代表、先輩家庭の代表にも集まっていただきました。改めて、創立六十五周年、法人認証六十周年を迎えられたことに感謝を申し上げます。しかしながら、この法人の運動史において、今ほど、存続を懸けた試練に直面したことはありません。そのような状況下で、公職者として最前線で歩む皆様に心からの敬意と感謝を伝えたいと思います。
 草創期の先輩方は、人生の全てを捧げ、天を愛し、人を愛し、国を愛してこられました。ところが、自らの命に替えても守りたいと願う家庭連合に、反日のレッテルが貼られ、日本列島から葬り去られようとしています。この情勢に、先輩方も、もどかしい思いを抱きながら毎日を過ごされているはずです。そして、最も心を痛めておられるのが、親の立場で見詰めておられる真のお母様です。お母様は私に、「日本のことを思うと、眠ることができないんだよ」と語られました。
 来年(2025年)四月十三日、天の父母様を地上にお迎えし、摂理は新たなステージを迎えます。真のお母様は、「天一国の文化は孝情です」と教えてくださいました。
 孝情は、創造本然の秩序が立った家庭で育まれます。これから、家庭文化の〝見える化〟が成されなければなりません。日本で私たちが信仰的に生き延びようとするなら、この国に最も必要な家庭の価値を、見える形ではっきりと発信していく必要があります。そのようにできなければ、家庭連合の生きる道が閉ざされてしまいます。この家庭文化の見える化が未来を決すると確信します。
 神日本に家庭の価値を取り戻すために、真の家庭づくり運動が救国救世運動の柱にならなければなりません。その中心軸を成すのが、神氏族メシヤを勝利した祝福家庭、天寶家庭です。祝福家庭が存在すること、それ自体が国家の希望とならなければなりません。
 三世代文化という視点からすると、祖父母、父母、子女の三代が全て主役です。あえて言えば、先輩家庭たちも天一国の主人として、主役の一角を担っていかなければなりません。これまで以上に、活躍していただくということです。
 私たちに「引退」という文字はありません。霊界に行ったとしても忙しいのです。霊界でのんびりしようと思っていても、きっと、誰かが地上で熱心に呼名祈祷をして、呼び出されます。協助を迫られ、忙しく働くことになるはずです。ですから、霊界でも地上でも、天一国ができるまではゆっくりできないと思ってください。〝我々に引退はない〟という固い信念のもと、何事にも全力で取り組んでいただけるように願います。
 人類の真の父母と共に歩むことのできる奇跡の時代です。一日一日を大切に、地上生活を歩んでまいりましょう。