家庭教育局長(執筆時) 阿部美樹
◆祈りの取り組み方
① 「どこで」祈るのか?
家庭では、「祈祷室」として使用できる特別な部屋を用意しましょう。部屋を祈祷室として確保できなければ、部屋の一部を祈祷する場所として設定します。そこには「家庭祭壇」を設けます。祭壇の上には、天地人真の父母様の「真尊影」を中心にして「天一国聖燭」「天一国聖塩」、さらには「原理講論」「天一国経典」「天一国聖土」などを置きます。設置する場所は、部屋の北側の窓際に設置するのが理想的です。しかし、難しい場合には、そのことを報告祈祷し、他の方向に設置しても差し支えありません。
また、「聖地」を訪ねて祈りの精誠を捧げることも貴いことです。さらには、正式には祈祷室などで祈るのですが、「時間がなければ、仕事をしながらでも祈祷はできるのです」(「至誠感天・家和万事成」P105)というみ言があるように、どこでも絶えず祈りを捧げることも必要なことです。
② 「いつ」祈るのか?
毎日早朝に、個人または家族で訓読・報告祈祷会を行います。やむをえず早朝にすることが難しい場合、家族がそろう時間に行うのもよいでしょう。下記の「敬礼式」においても報告祈祷を捧げるようになります。
〇安侍日敬礼式:朝5時
〇月初め敬礼式:毎月1日(天暦)朝5時
〇名節敬礼式:真の父母様が行う敬礼式と同じ時刻(通常は朝7時)
☆各種記念日の式典や基元節、聖和節などの式典でも行われます。
☆事情があって、上記の時間に敬礼式を行えない場合は、あらかじめ定刻前に行うか、多少前後してもよいでしょう。
③ 「期間や時間」を決めて祈る
何日から何日までの40日間など、「期間」を決めて祈ること、朝6時からという「時刻」を決めて祈ること、21分間や40分間など「時間」を決めて祈ることも大切です。祈りの継続は大切ですが、簡単ではありません。ですから、21分間と決めたら、その時間内は決して引き下がらず祈り続けるならば、だんだん祈る能力が養われていきます。祈りに対して、神様の答えが返ってこなくても、様々な段階で隔たりの世界があるので、届くまで時間がかかります。多くの人は、祈っても聞き入られないと祈りをやめたり、答えがすぐに返ってきたからといって喜びすぎてもいけません。常に継続して精誠を尽くしていくのです。
「祈祷生活をするとき、目標のない祈祷生活をしてはいけません。目標を立てておいて生活しなさいというのです。一つの目標を立てておいて、三年なら三年、あるいは十年なら十年間、自分のすべてのものを投入し、神様と共に談判する生活態度でいかなければなりません」(文鮮明先生御言選集 30-122 1970. 3. 21)
④ 「誰と」祈るのか?
祈りは、個人で祈る場合、夫婦や家族で祈る場合、教会の礼拝や祈祷会での全体で祈る場合などがあります。祈りの基本は神様と私の一対一の世界ですし、個人の祈りを欠かすことはできません。家庭においても、個人で祈ることも必要ですが、可能な限り夫婦が一緒になって、家族が一緒になって祈ることが望ましいことです。特に、夫婦が天のみ旨の前に、共通の目的を持ちながら共に祈ることは素晴らしいことです。天一国は「二人が一つになる国である」というみ言があるように、「祈りによって神様を中心に夫婦が一つ」になる精誠が大切です。夫婦で祈る時、祭壇に向かい黙祷するだけでは、互いにまったく違ったことを祈って終わる可能性もあります。祈る時間は共有できても、内容や心情が共有されていないからです。夫婦の祈りが深まるように工夫が必要です。
⑤ 「夫婦での祈り」の深め方
夫婦での祈りの深め方を三つ紹介します。
第一は、祭壇に向かいながら横に並んで祈るのではなく、「向い合って手を繋ぎながら祈る」ことです。心を合わせるためには、外的にも手をつないで互いのぬくもりを感じながら祈ることも有効です。
第二は、「交互に繰り返し祈る」ことです。一人が代表報告祈祷して、それぞれが祈祷するのではなく、夫が祈ったら妻が祈り、妻が祈ったら夫が祈るように繰り返すのです。互いの祈りの進捗(段階)を合わせて、交互に祈りを加え合わせながら、天に報告していく方法です。相手の祈りを大切に聞くならば、新たな発見があったり、気づきがあったりします。次に祈る時は、その刺激を受けて、同じ観点で祈りを深めたりすることができます。夫婦が子女のことについて祈った場合、子女に対して感謝していることや心配していることの中身が案外違っていることを発見することもあるでしょう。配偶者の立場から見た子女の姿を知る機会であると同時に、夫婦のお互いの気持ちを深く知る機会でもあります。しかし、夫婦の意見交換の場ではなく、あくまでも天に報告する場なので、相手の祈りは必ず大切に聞くことが大切です。このような祈りが終わってから夫婦が話し合うならば、授受作用がとても本性的になるので恩恵も大きいのではないかと思います。
第三は、祈りの内容を「感謝の祈り・報告の祈り・感謝の祈り」にすることです。例えば、子女のことを「テーマ」に夫婦が祈る場合、子女の問題や悩みにばかりに意識がいく傾向があります。問題や悩みを中心とした祈りではなく、子女の命そのものを与えて下さった神様と真の父母様への感謝の祈りを中心に行います。子女が現在どのような状況にあったとしても、それらを一切無視します。この祈りの瞬間は夫婦が完全に、子女の命を与えて下さったという感謝のみの祈りを交互に行います。命を与えて下さった神様の愛と相対基準を結ぶためです。私たちは祈りを通して物事を成そうという前に、神様の愛に感謝し、神様を愛さなければなりません。次に「現状報告」です。報告の祈りは、現実に抱えている状況を報告します。外的な報告だけでなく、そこから感じる親としての思いや心配を率直に天に報告します。祈りの最後は、もう一度感謝の祈りに戻ります。最後の感謝の祈りは、簡単で良いと思います。
このように感謝で始まり感謝で終える祈りです。夫婦で神様を迎え、夫婦が神様の似姿になっていく時代の恩恵あふれる祈り方です。
「祈祷生活をすれば、言い表し得ない喜びが訪れるのです。その境地が、創世前の神様の心の境地です。皆さんがそのような境地で、「こうだ」という内容をもって説明できる立場に立てば、その立場が正に神様が天地万物を創造された立場なのです。神様がみ言で被造物を創造された立場だというのです。そのような境地で、み言を宣布しなければなりません。そのようにすれば、人々も、必ずそのみ言に触れてみようと思うのです」(天一国経典『天聖經』第八編 第二章 第四節 22)